【コラム】vol.16 新磁(にじ)「紫紺」

新磁(にじ)『紫紺』

現行の新磁シリーズでは唯一の赤系色である紫紺。
形状はリムクーププレートと鉢形のクーププレートの二型をラインナップしています。

見る角度によって青が強く見える時とボルドーに近い色になる時があり、これと形容しがたい色味を持っています。
ゆえに「紫⇆紺」の間という意味合いで『紫紺』。

新磁シリーズは釉薬が溜まって流れることが多くあります。
通常はデメリットとして捉えられがちなこの現象ですが、紫紺の場合はむしろこれが見所の一つ。

渕から重力に従ってトロリと下がる「流れ出し」の部分は他の部分とは違い、白がかった色が現れます。
これが熱の掛かりに依るものなのか、釉薬の厚みに起因するのか、などと考えながら見ると実に面白く見えて
きます。

表もパウル・クレーの絵画のような深淵に引き込まれる感覚に囚われる色味ではありますが、このような動的な工程で
偶発的に生まれた部分というのは何とも不思議な力強い世界観を作り出します。
まるで抽象的な油絵か、遠い宇宙に拡がる星雲のよう。

ちなみに、高台に現れる青色のリングも美しいポイント。

盛り付けには関わりがない「裏側」ではありますが、案外とそういう所に面白さが隠れているものです。

OHASHIブランドにはそういった器が多くありますが、カタログでは中々それがお伝え出来ていないのも事実。
こんな形で発信することで、少しずつでも器を愉しんでいただけたら幸いです。

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Restaurant ISO/新潟

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