【火花舞う黒鉄の器】新磁シリーズ/鉄砂(てっさ)

『新磁シリーズ 鉄砂(てっさ)』

磁器をベースに陶器の深い色彩を表現した新磁シリーズに新パターンである『鉄砂』が登場。

鉄砂のイメージは「火花」。名称も鉄を打った時に爆ぜる火花に重ねて。

鍛治仕事をする時は熱した鉄の色を見やすくするように少し暗い環境で作業をします。そんな闇の中に浮かぶのは、熱されて光を放つ鉄や炉から飛び散る熱い火の粉。鉄砂の器に浮かぶ情景はまさにそんな熱を帯びた世界観に通じるものがあります。

 

もう一つ浮かんだモチーフが、速水御舟の「炎舞(えんぶ)」という有名な日本画。闇夜に立ち登る炎に誘われるように蛾が舞い踊る、鮮烈な印象の一作です。

仏画を参考にしたという少しデフォルメされた炎は、一見すると攻撃的で蒸せ返るような怖い感覚を覚えますが、その姿を見上げていった先は、熱を帯びながら淡く淡く消えていくようで、何か線香の煙のような静寂で神聖な雰囲気すら感じられます。

炎は命を奪う恐ろしい存在でもありますが、こと火葬にて死を弔う日本人にとっては、同時に「送ってくれる」大切な存在。だから、炎というモチーフは「命」というテーマと切り離せない部分があるように思います。

その意味では料理もまた、炎と生命に密接に関連する仕事だと言えます。

生では食べられない肉が炎に焼かれることで、私たちが食べられる形へとフォーマットされます。そのまま何もしなければ朽ちていく「生命だったもの」を、“加熱”という過程を加えることで「他の生命を助ける存在」に変えることが出来るわけです。

先述の鍛治における鉄も、同じように無機物だった鉄が光を放つほどに赤々と熱を帯びることで、叩いて形を変えられるように変化していくというプロセスは、新しい命の枠組みを再構築していくかのようで、どこか料理の「命の変換」に通じる部分があります。

「鉄砂」の名には、有機と無機、生命と死への思いを込めました。

形状はトップの画像のクーププレートと立渕プレート、リムクーププレート。

茶器やデザートカップにも使えるボウルや酒器もラインナップしました。

名に違わず、黒と赤茶の他に鉄色の砂が散ったような複雑な表情をしています。是非とも肉眼でご覧いただきたい器です。

 

※現段階ではオンラインストアではお取り扱いしておりません。ご検討いただける場合は下記よりお知らせ下さい。
https://www.ohashi-web.co.jp/contact/

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