【和洋問わず取り入れやすいモダンな重箱】モダンボックスシリーズ(vol.2)

和洋問わず使いやすい塗りのお重『モダンボックスシリーズ』

ブランド立ち上げ初期から続いている塗シリーズの箱重『モダンボックス』に新色を追加しました。

6色展開の内、残りの3色をご紹介します。

<モダンボックス/イナホ>

少しザラザラした表面に落ち着きのある金色を合わせたイナホ。

金屏風のようなゴージャスなゴールドではなく、少し落ち着いたシルバー寄りのシャンパンゴールドに仕上げることで、和洋問わず取り入れやすい色合いにしました。

五円玉にも描かれる通り、たわわに実った稲穂が映し出す美しい黄金色は、まさしく『豊穣』を体現する恵みそのものの色。そこには1年の労をねぎらい、また次の収穫を願う祈りの意味が込められているように思います。

世界中がコロナ禍で苦しむ裏で、過去最大級の蝗害(バッタの大量発生)がアフリカを襲っていると言います。全ての草木を荒れ野のようになるまで食べ尽くし、また数を増やしながら次の牧草地へ飛んでいく、この厄災は聖書にも描かれるほど古くから人々を苦しめてきたのだそうです。

凶作、豊作による変動はあれど、現代の日本においては飢餓に苦しむような状況に見舞われる事は稀です。その背景には今のような安定を願って土地や苗などの改良を脈々と続けてきてくれた先人たちの思いがあり、それを受け継いで丹精を込めて育ててくれている農家の方々の存在があります。

当然のように思ってしまう今日の食事情は、誰かの努力が作り出した「必然」であり、決して無条件で得られているものではありません。

そんな、今日も安心して食べ物を口に出来ているありがたさを、この黄金色に込めて。

<モダンボックス/ウミ>

今回のラインナップでは唯一のツヤありである「ウミ」。イメージは「ウミホタル」です。

日本最大の離島である、佐渡島はダイビングスポットとして知られるほど水がきれいな海域。小規模ながらサンゴ礁が広がり、船からイルカなどが見られることもあります。

そんな佐渡の夜の波打ち際で見られるのが、貝類であるウミホタルが波の刺激を受けて作り出す「光の波」。分泌した物質が水中の酸素と反応することで青く輝く現象が起こるのだそう。ちなみにこの発光には威嚇や求愛の意味があるとのこと。同じ発光性を持つ海洋生物に夜光虫(プランクトン)やホタルイカなどもいます。

四方を囲まれた島国である日本にとって、海は様々な生命を育む命の源であると同時に、時にその牙を私たちに向けてその強大な力を持って自然の恐ろしさを教えてくれる、畏敬すべき存在。
深い漆黒と鮮やかな青緑の片身替で作られた色合せは、そんな海の二面性を映しているかのよう。

天の川などに見立てるのも良いかもしれませんね。

※右の画像は佐渡島ではありません。

<モダンボックス/クロガネ>

「クロガネ」とは鉄のこと。昔は金のことを「コガネ」、銀を「シロガネ」、そして鉄を「クロガネ」と呼びました。

人の歴史を考える上で、鉄の精錬技術の進歩を無視することは出来ません。鉄は熔解するのに1500℃以上の高温を要しますが、単純に薪を燃やしただけの火ではこのクラスの温度を得ることは出来ないため、人々は挙って技術改良に励みました。映画「もののけ姫」でも描かれていた「たたら製鉄」がその一例です。
一説ではこの技術で栄えた豪族の力を削ぐために、朝廷から派遣された討伐隊の戦いを描いた話が「桃太郎」に転じたとか。

そうまでして鉄を求めた背景には武力の増強が主な狙いとしてありましたが、副次的に農具の改良を行うことで農作物の収穫量を増やすのに寄与してきました。土が柔らかくなれば植えられる種類も増えるし、農地でなかった場所の開墾も出来るようになります。
その後も精錬技術や素材の改良が為されていくのに合わせ、刀や槍が銃に変わり、手漕ぎの木船が海を越えて遥か遠くの大陸まで飛べる飛行機になり、やがて人が一生掛けても辿り着かないような遠い惑星まで衛星を飛ばせるような世の中になっていったわけです。言わずもがな、私たちの食卓に欠かせないカトラリーの素材として一般的なステンレスも鉄をベースにした合金です。

アルミなどと並んで、身近な金属である鉄。何気なく目にしているこの素材の裏にも人々の歴史があり、今に至ります。

そんな先人たちの叡智への感謝と畏敬の念を込めて。

 

※オンラインショップでは12月上旬に販売開始予定です。もうしばらくお待ちください。

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