【メンテナンスサービスのご紹介】金継ぎ加工

<金継ぎ加工のこと>

欠けたり割れてしまった器の金継ぎ加工を承っております。
金継ぎは「ただ直す」ための修繕技術ではなく、「割れや欠けの表情を個性として愛でること」こそ醍醐味だと言えます。
これまで承った事例を参考にご紹介します。
まずは、欠けの修繕例。
棚に仕舞う時や取り出す時、または洗っている時、ちょっとした接触で縁が欠けてしまうことがよくあります。
こういったダメージは画像のように補って直すことが出来ます。
縁以外に高台にも見られます。
この事例は、例えば金継ぎの部分を月もしくは夕日に、底の溜まりの濃い緑を水平線に見立ててあげると、海に月が落ちるようなストーリーが生まれるかもしれません。
そう見ると、器自体のエメラルドグリーンや釉薬の貫入にも海面のイメージを関連付けて、意味を与えられそうです。
そうであったら、盛る料理は魚介を使ったものやジュンサイなどの水に関連するものが良いかな、などという連想が広がります。
ただ、解釈は人それぞれあって良いでしょう。

次に、ヒビの修繕例。
乾燥だったり、欠けが原因で広がったりと原因はさまざま考えられますが、このようなヒビも直すことが可能です。
ちなみに、名称こそ「金継ぎ」ですが、今回のようにシルバーやブラックな仕上げにすることも出来ます。
あえて目立たなくさせるのも良いでしょう。
今回は例えば口部の土色を屋根の軒下に、白い部分を家の壁に見立ててあげると、継ぎの箇所がさながら氷柱に見えてきます。
ベースの器は、土の素朴な色合いがどこか木版画などに通じるような抽象的な魅力を持っていますが、ここに少しだけ写実的な冷たい氷柱という対比的なモチーフが入ってくることで、一挙に世界観に温度感などの奥行きが出てきます。
雪や霜を思わせる造作、もしくは柿なんかの雪にまつわる食材が入ってくるのも良いですし、逆に温まるものでも面白いかもしれませんね。

最後に、割れの修繕例。
状態にもよりますが、事例のように真っ二つになったものでも直すことが出来る可能性があります。
ここまでのものでなくても部分的に割れてしまったものも対応できます。
これはそのまま落雷を連想してしまいますね。
継ぎの部分の周りの少し白っぽい表情も良い感じに金色を強調してくれています。
元はダークグレーのシンプルな器でしたが、金継ぎが入ることで一挙に浮世絵に描かれるような劇的な世界に足を踏み入れたような、面白味のある器に変身しました。
ここまでダイナミックに入ると、もはやデザインの一部と言っても過言ではないでしょう。

こうした器の傷もいわば使ってこられたユーザー様の時間の蓄積が生んだ「必然」だと考えることが出来ます。また、そのように長く使ってきた器を再びメンテナンスして使い続けるということは、純粋にとても意義のある活動だと言えるでしょう。

まさしく正真正銘の一点ものです。


ご希望されるお客様は、まずはお見積りをさせていただきます。

お気兼ねなくご相談ください。

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